2008年12月8日月曜日

成長率の鈍化した今のリソース配分

複数の部署や複数の部署、あるいは複数の関連会社から成る様々な人たちでプロジェクトを構成する必要がでてきたときに、プロジェクトマネージャーという仕事が必要になってきたのだとは思う。

では、例えば、一つの部署で一箇所で一つのプロジェクトをやる場合、その部署のマネージャーがPMをやったらどうなるか?マネージャーとしてのアドミの仕事もあるから時間的にどうかと思うかもしれないが、それは置いておいて他にも不都合があるのじゃないだろうか?

最近、プロジェクトマネージャーは実際のマネージャーにとって便利だから、というのが存在理由になってしまったような気がする。
1.マネージャーがプッシュするとパワハラでも、PMがプッシュする分にはパワハラにはならない。しかも、スケジュール管理が自分の仕事だからということでPMがしつこく進捗を聞いても、それが仕事だから誰も何も言えない。
2.特に何かできる技術がなく、どのグループでも仕事がない場合、その人にPMという仕事をあげられる。
3.昇進させてあげられないが何か良いものを持っている人に対し、PMにすることでマネージャーという名前をあげることができる。

結局、PMってなんなんだろう?IT業界が二桁の成長率のため猫の手も借りたい状態だったときに、優秀な人材の数は限られていた。優秀な人にばかり仕事を集めると、スタックする。いくら優秀でも人間だから時間がかかるのだ。それで、それ以外の人材に仕事を割り振る必要があった。例えば、専門技術がなくても、その優秀な人がいれば、その人に聞きながらPMができる。FAEに関しても同じことが言える。優秀な人が裁ききれる量に限りがあるので、顧客からの簡単な質問はFAEに答えさせ、フィルターをかける、など。マネージャーだって同じだ。部署が多くなり、次々に新しいマネージャーのポストができた。マネージメントが何かなんてろくに知らなくてもマネージャーになれた。

プロジェクトが減った今、ほんとうにそれらが必要なのだろうか?例えば、マネージャーが兼任できるPMというのもでてくるのではないだろうか?困るのは、マネージャーはあまり部下をプッシュできないということくらいだろう。

業界の急成長がこれらの冗長な仕事をたくさん作った。二桁成長の見込めなくなった今、会社はこれらの冗長仕事についている人たちを切るのだろう。

2008年12月2日火曜日

高品質 → 長期耐用年数 → 環境に優しい

アメリカは、品質に対する感覚の緩い国だと思う。

アメリカ人に言われたことがある。「日本人は人の失敗をずっと覚えていて許さない。」何のことを言っているのか聞いてみると「うちの製品で一度不具合があったことがある。日本人の客はそのために、その後ももううちの製品は二度と使わない」ということらしい。そのときの客の状況・彼らの対応の仕方等、細かい状況を聞いてみないとよくわからないが、非常に腹が立つものだったのだろう。彼曰く「ドイツの客でさえアメリカに近い」と。以前、アメリカに住んでいるドイツ人に似たような質問をしたが、彼はドイツは日本とアメリカの中間だと言っていた。

再びアメリカに住んでいる別のドイツ人に聞いてみた。彼はそんなに日本の客を知っているわけではないので、日本との比較の信憑性はいまいちだが「その話の日本人ほどではないかもしれないけど、ドイツはアメリカよりも品質に厳しい。子供の頃から品質に厳しくなるよう教育されてきたんだ。安くて悪いものを大量に買うよりも、高くてもいいものを少し買うほうを選ぶ。車だって、一度買ったら大切にずっと乗り続けるんだ。安いものを修理しながら使うよりも、高くてもいいものを使い続けるほうが、長期的にはコストを抑えられるという教育をするんだ。でも、家は買わない。仕事が変わったりすると引っ越さないといけないから。」と、少なくともアメリカよりも品質はいいことを誇っていた。

アメリカ人にとって中国の客が接しやすいと感じる理由の一つが、品質に対する感覚の近さではないかと思う。品質に小うるさい日本やドイツと違って、アメリカや中国はあまりうるさくないので取引しやすいのだろう。言い換えれば、品質をあげるためにお金を払いたくないのだ。ゴミにお金を払わない国に住んでいるが故の感覚だろう。

では、お金をかけずに作った製品の品質に問題があったら、どうするのか?以前アメリカ人が自慢げに言っていたことがある。「うちの製品で問題があったことがある。でも、値段を下げると言ったら、そのまま使い続けたよ。」クレームを言う人にはお金で対処するのが当たり前なのだ。そういう私も、本を買うときにちょと汚れていたので「きれいなのはないの?」と聞いたら、安くしてくれたのでその汚れていたのを買ってしまった。日本なら「今在庫がきれていますので、新品を取り寄せます。」と言うところだろう。

日本では粗大ゴミを捨てるときはお金を払うのに対し、アメリカでは粗大ゴミは家の表に出しておけば誰かが持っていくし、チャリティのお店がひきとってくれるのでお金を払う必要はない。その結果、新興国でそのごみが問題を起こしている。アメリカから送られたe-Waste(家電ゴミ)が、新興国に有害物や発癌物質による問題を起こしているらしい。バンガロールの子供達が血中の鉛のせいで深刻な被害にあっていると聞いた。
ヨーロッパや日本はリサイクル等に厳しい。また、日本だって、私が子供の頃は、粗大ゴミを捨てるのにこんなにお金がかからなかったと思う。お金がかかり始めた頃は「なんでゴミにお金を払うんだ」と不満だったと思うが、リサイクルにはお金がかかるのわかるし、今では当たり前だ。アメリカも一旦始めてしまえば、それが当たり前になるだろう。

アメリカでは返品が簡単だ。壊れたり、何かが気に入らなければレシートと持っていけば、返金してくれたり新品と交換してくれる。だから、購入者にしてみれば、商品が簡単に壊れても取り替えればいいだけなので、あまり深刻にならない。深刻にならないだけであって、もちろん壊れるものがいいわけではないので、値段にあまり差がないなら、壊れないほうを買う。とはいえ、この返金・返品制度も品質を悪化させる原因のような気がする。製造者側にしてみれば、返金や新品との交換の代金の方が、クレーム対応のコストより安いのである。例え色が気に入らなかったとはいえ、返品された製品はどうなるかというと、もちろんごみになるのである。製造者にごみ料金を課せば、このシステムは変わって「返品お断り」になるに違いない。

こういった品質感覚の違いを作るものには、「生活環境の安定性」や「労働力のコスト」があるのではないかと最近思う。すぐに引っ越すかもしれない、またすぐに別の仕事に移るかもしれない、という生活環境では、高いものを長期で持つにはリスクがある。高く売れるかわからないものよりは、安いもののほうが売りやすいからだ。また、安価な労働力を持つアメリカや中国では、問題があればまた作ればいい。安いのだから。ところが日本は、終身雇用がベースにあった社会であり、基本的には頻繁に引っ越すわけではない。日本では引越し代が高いし、賃貸なら敷金礼金も高い。また、安価な労働力を持たないので、また作ればいいとは思えない。最初から高品質なものを作り、長く使うことが長期的には安く上がると考えるのだろう。ドイツではあまり家を購入しないというのならば、そのことが品質感覚において、ドイツを日本とアメリカの中間に位置させているのかもしれない。

高品質であるということは、壊れにくく、しかも耐用年数が長いことにつながる。耐用年数が長ければ、無駄なごみを抑えることになる。つまり、環境に優しい。この考え方は、グリーンテクノロジーが注目をあびる今の時代にとって強力な武器になるだろう。しかも経済悪化により製品サイクルが伸びている今、時間をかけて高品質な製品を少量開発する方が、開発しやすい。注目される市場も、PCや家電から、メディカルや車載、セキュリティ等高品質が求められる市場に移行してきている。いろいろな流れが、高品質を示しているように感じる。

この環境への影響の低さを売りに、高品質の製品を売り込んだらいいのではないだろうか?

信用するための基準とは

返済しきれない程の借金が、この金融破綻を引き起こしたアメリカ。
社会的信用度ゼロからスタートし、借金をすることで信用度が上がっていく加算方式だから、より多額の借金ができることが信用度の高い人であり、ステータスにもなる。クレジットカードの色、すなわち最高限度額の違いがステータスだと言えば、日本人にもピンとくると思う。そういう考えである以上、借金することは悪いことというよりも良いことのように感じる。

クレジットカードとは、信用貸しするカードなのだ。日本ではクレジットカードは翌月全額自動引き落としされるのが当たり前だ。アメリカではクレジットカードは貸付カードなので、最近までクレジットカードの自動引き落としという概念がなかった。翌月明細を見て自分でいくら返済するか決める。例えば1000ドル使ったとしても、最低15ドル程度払えばいい。残りは今度お金があるときに利息と一緒に払う。毎月全額払う私にとっては面倒以外の何者でもないが、フィッシングの多い最近は確認する必要があるのでしょうがない。

余談だが、アメリカのクレジットカードには詐欺の保険の他、事故や病気による失業保険の加入を勧めるものが多い。それだけ、詐欺や失業が多いということなのだろう。日本のカードの海外旅行保険を考えると、平和な国だと思う。

日本人は、日本人という国籍に対して信用を与えるのだと思う。だから、まずデフォルトで信用度○を与えられる。借金をしてブラックリストに載ったり何らかの問題を起こすと、そこから減点される減点方式だ。だから、自分が社会的信用を失うことを極端に恐れ、社会的信用を失うことをした人に対して極端に厳しい。失敗するくらいなら何もしない方がいいと保守的になり、失敗した後立ち直るのに時間と相当の努力を要する。

その日本人という信用の存在は、日本に住む外国人を見るとわかる気がする。例えば、日本人が東京で家を借りようとすると保証人は一人でいいが、彼らが東京で家を借りようとすれば保証人が二人いる。日本人という信用を持っていないからだ。アメリカで家を借りるのに保証人はいらない。デポジットとして少しだけ払っているだけだ。デポジットといっても日本の敷金と違って、1700ドルの家賃でも200ドルから500ドル程度だ。礼金はない。ただし、ここでもクレジットヒストリーが重要で、ないと500ドル、あれば200ドルということになる。つまり、払えなくなった場合に責任をとる保証人でなく、自分個人の信用度がどれくらいかで判断されることになる。

クレジットヒストリーという信用度で判断するシステムでありながら、その信用度の低い人に多額の貸付を行って経済が混乱したアメリカ。今、市民権を持たない人に対し、その信用度に対するチェックが以前よりも厳しくなってきた。移民の受け入れにも消極的になってきている。私もその影響を受けているので、他人事ではない。

日本人同士という信用が自分達の根底にあるため、他国から売り込みにくる人やものをなかなか受け入れられない日本。信用は減点方式であるため、アジアからの輸入食品に問題があってから不信感をどんどん募らせる日本。

今、社会全体が、お互いに懐疑的になっているような気がする。手放しで信用することがいいこととも思わない。信用するための明確な基準がほしい。

2008年11月12日水曜日

MEMS センサ&アクチュエータ

今までプロセッサやメモリが注目され、多くのベンダがその中で競い合い、もうかなり勝者がはっきりしてきた。新しい戦場はどこになるのだろう?センサ&アクチュエータかなと思う。

IC Insightsのレポートによると、MEMSセンサ&アクチュエータは2007-2012に毎年19%の成長が期待されていて、$4.1Bから$9.7Bになるらしい。MEMS以外を含めても$11.9BなのでほとんどMEMSと思っていいようだ。

今までセンサ&アクチュエータは、車載製品やセキュリティ、FA用製品で開発されてきた。例えば、エアバック、タイヤパンクセンサー等、安全のため反応するもの。あるいは、圧力センサ、流量センサ、温度センサなどは、ごく身近な体重計・洗濯機・冷蔵庫、人間の代わりのFA機器でも使われていて、それらのセンサの検地した結果から何らかの動作をするのに使われる。それらは、あまり複雑な判断を必要とせず、脊髄反射に似ていると思う。
それに対し、携帯やPCについているマイクロフォン、カメラやPCについているイメージセンサーは、高機能なプロセッサで信号処理されるので、脳反射に似ている。
脊髄反射では小さなマイコンで十分であり、脳反射では高機能なプロセッサがいると考えると、なんとなくわかりやすい。

人間で考えると、脳は一つだ。また、視覚、聴覚、味覚、嗅覚は一箇所で、複雑なので脳反射なのだろう。マイクロフォン、イメージセンサは、それぞれ聴覚、視覚に似ている。それに対し、皮膚センサは無数にあり、圧力、痛み、温度、接触等のセンサが皮膚にはついていて、ある閾値を超えると脊髄反射を起こし、筋肉を動かす。後者の分野のセンサ&アクチュエータが、医療、自動車、セキュリティ、FA分野においてこれから成長するのだと思う。

センサが増えれば、いろんな情報が電子化されることになる。ネットワークのトラフィックが増えるのはもちろん、セキュリティの問題がどんどん深刻になるだろう。

志を高く持って進む

どん底に突き落とされたような不況。レイオフしているのは他人事でなくて、自分の会社も同じ。皆が次のターゲットはどこの部署かとか、どうやってレイオフしている人を選ぶんだとか、或いは開発費がカットされたとか、派遣社員は解約されたとか、組織変更があったとか、、、そんな噂話でもちきり。

当然、やる気なんてなくなってるし、生産性はかなり低い状態。

会社がつぶれないならば、80-90%の社員は残るだろうし、その中に入る確率のほうが断然大きい。

それと不思議なことに、前は「わかってないなぁ。10年前と同じこと言ってるし、世の中変わったことに気づかなかったのか。ちゃんと現実見ないと勝てないって」って思ってたんだけど、最近「あ、わかってきたじゃない。そうなのよ」と思えることが増えてきた。
その点、私は、以前よりもずっと気持ちがいいし、やる気がでる。

うさぎとかめでいうなら、かめの気分。皆が落ち込んで寝込んでいる間に進んでしまおう。勝てちゃったりして。

2008年11月6日木曜日

Workplace Harassment

オンライントレーニングを受けたが、いきなり出てきたハラスメントの例にびっくりした。
   自分と寝ないからと言ってアシスタントを首にする上司
   ランチタイムに聖書の研究会に出席したら昇進させると言う上司
こんなことって現実にあるの?

勉強になったことを挙げてみる。NG,CAUTION,GOODの3つのレベルがあった。
 1.確かに不快と思われる接触のみ禁止される。だから、握手はGOOD。
 2.パーソナルスペース内に顔が入ってきたと思っても、触ってはいないので、これはCAUTIONレベル。
 3.水着の一般女性のカレンダー等は禁止だけど、奥さんの水着は性的なものでないのでGOOD.
 4.個人のスペースに宗教関係のものを置くのはいいけど、他の宗教や無宗教を非難するものはNG。
 5.職場において自由に話せる権利があるわけではない。信仰を語るのはNG。
 6.1-2回はいいけど、しつこくデートに誘うのはNG。
 7.セクハラを受けたときに、相手に話してから会社にいう必要はなく、いきなり会社に言っていい。
 8.お客が従業員にセクハラをするのもNG。

おもしろかったのは、アフリカンーアメリカンの例が一番多かった。彼らはひどい差別をうけているのだろう。うちの会社はセクレタリーがほとんどアフリカンーアメリカンの女性。愛想がよいとはお世辞にも言えない。でも、彼女達と話してみると、実はすごく感じのいい人たちばかりで、顔見知りになればすごく対応がよくなって親切になる。

最初感じ悪いのは、私の訛った英語を見下しているのかと思ったが、たぶん常に下に見られている彼女達からすれば、私もそうやって見下す人たちの一人に見えたのだろう。笑顔を見せることで、関係が大きく変わるものだ。電話のセットアップを全部やってくれたり、ミーティングのときにわざわざどこか他の部屋から私のために椅子を持ってきてくれた。私が彼女達の立場なら、そこまでやらないかもしれない。彼らの苦しみは、想像を超えるものなのだと思う。

そういえばまだアメリカに来たばかりの頃にコントラクタのインタビューをしていたとき、70を超えていそうな人が来た。つい「死にそうだったね」と感想を言ってしまったら、「アメリカではそれは差別用語だから気をつけなさい」と言われた。言われても、何の差別だかわからなかった。日本のテレビでは年齢差別用語を平気で言うからだろうか?

2008年10月31日金曜日

Jack-o'-lantern - かぼちゃの馬車 -

明日はハロウィンなので、ジャックオランタンを作りました。

私にとってはかぼちゃはハロウィンのお化けよりも、やっぱりシンデレラの馬車なのです。そこで馬車っぽくしようとしたら、こんな風になりました。でも、魔法で作った馬車はこんなものだったに違いありません。

蔓の感じがあまり出ず、ちょっぴり繊細さに欠けてしまいました。少し緑で塗ったらよくなるかもしれないと思いましたが、暗いと色は見えないので、これで十分ですね。