2010年6月2日水曜日

半導体市場の変化

半導体の市場そのものが変わってきたのだ。

IBM, インテルが引っ張ってきた時代は、メインフレームやパソコンといった特定のハイテク機器やそのネットワークの進化に沿って、半導体も進化してきた。高集積化によりパフォーマンスの向上と低価格化を実現するという方向は明確だった。ここで問題になったのはムーアの法則のような技術的なことよりも、その市場がハイテク機器という特殊ユーザ向け市場から、一般ユーザ向け市場に裾野を広げたことなのだろう。これはパソコン機器等が大きく低価格化していることから明らかだ。その市場の変化に半導体ベンダが対応しなければ生き残れないのだ。

今まで最先端技術の開発を誇りに思ってきた技術者達は、その低価格の量産品開発に抵抗を感じているのかもしれない。でも考えてみれば、低コスト下の波に逆らえず、既に製造工場は中国や東南アジアにシフトしている。設計者もインドや中国にシフトせざるを得ないだろう。その結果、米国や日本で仕事がなくなる人間がでてくることになる。

それを回避する方法の一つは、安いレイバーコストに対応するためにオートメーション化を推進するためのプラットフォームの開発をすることかもしれない。その開発に人的リソースを投入し効率化を図れば、今はともかく、将来中国やインドのレイバーコストが米国や日本並みになったときでも低価格化に対応できる。

例えば、今は一つ一つ手でRTLを書いてインテグレーションしているが、SOPCBuilderやPSoCのようにRTLはかけなくても簡単にできるツールを開発すればいい。Place and Routeに関しても、FPGAを使えばクロックのアラインは手軽だし、大規模でなくかつ高速でなければ簡単に配置配線もできるのだから、FPGAのアーキテクチャを改良していけばいい。

そういったコアの開発のみ残し、あとはそれらを使うユーザ側のサポートということになるだろう。今週のHPのレイオフと内容は同じだ。シスアドはなくし、カスタマサポートをとるという。

これも一種の自然淘汰なのかもしれない。