2010年6月16日水曜日

IPベンダの行く末

かつて、ASICベンダにとって、自社ファブのライン確保による安定した供給、豊富なIPポトフォリオが売りだった。ところが、ファウンダリが自社ファブの価値を無くし、多数のIPベンダがその価値を奪った。自社ファブでしか製造できず、独自開発のためすべてのIPを揃えるのに時間のかかる上、ライブラリの狭さによる制限は、ASICベンダにとって足かせにしかならなくなってきた。顧客は、IPやライブラリ、サポートツールやTATテーブルを作り、この電源はうちのボードにはないといった議論をしながら、ベンダ比較をするのである。

とはいえ、IPベンダだって楽ではない。自分だけで幅広いポトフォリオを揃えるというのは難しいのだ。だからSERDESのような多様な仕様に使い回せる汎用性の高いものを作り、レーンを増やす、スピードを上げる、パワーを落とすといった具合に改良していくのがいい。規格ものや特定用途のものは、コンペも多いし、次につなげにくい。本当に先を読む目のあるトップがいないと、次にあれを作ろうとし、やっぱりこれを作ろうし、と右往左往しているちに、つぶれるか吸収される。

CMOSファブがファンダリに集約されたように、CMOSプロセスも集約され、3社くらいに絞られるのだろう。CMOSベースIPのプロセスの種類もそのプロセスと同時に集約されるので、次の32nm/28nmのIPで勝てたところが最終的に生き残れるところなのだろう。最大の激戦区はSERDESだ。次にWirelessのAFE、センサーといったところだろうか。

生き残れなかったところは、どうなるんだろう?