2010年3月20日土曜日

共感コミュニケーション

コミュニケーション能力が高いというのはどういうことか?

結論から言うと、他人と共感できる確率の高い人間のことだと思う。常に100%共感できる人が一番コミュニケーション能力が高いと言えるだろうが、そういう人間は存在しない。

共感するためのスキルとして、自分の意思を明確に相手に伝えるとか、相手の言うことを理解するとかいうことが必要となるのだ。そしてそういう人は、得てして相手のことを受け入れる包容力の大きい人が多い。

普通のコミュニケーションでは、ターゲットとなるコミュニケーションの相手というのがいる。まずその相手に心を開かせることから始まる。一番簡単な方法は相手との共通点を見つけることだ。これは人間に安心感を与える。次に相手の言っていることを理解しようとする。これによって相手はこちらの話も聞くという体制を作ってくれる。そうして相手が受け入れる体制を作り、相手がどういう人間かを理解したところで、相手の反応を見ながらこちらの意見に共感してもらえる方法を模索することになる。このプロセスは一方だけでなく両者が同時に行う必要がある。

昔のセールスはターゲットの顧客に対し、そのコミュニケーションスキルを使って売りこみをしてきたプッシュ型だ。だが、ネットマーケティングは違う。顧客を絞るのでなく、自社のブランディングをすることで不特定多数の顧客を呼び込み、自社製品に関心を持ってくれた顧客に勝ってもらうプル型だ。人間は売り込みにきたものに対しては警戒をしていきなり心を開かない傾向にあるが、自ら興味をもったものに対しては警戒をせずいきなり心を開いている傾向がある。

ネットのコミュニケーションはそのプル型だ。自己ブランディングをし、それに興味を持ったり共感してくれた人間のみを対象にするプル型なのだ。プル型の利点は、相手に心を開かせて安心させるところが必要ないことだ。最初からこちらの話を聞く体制を持っている。だから自然と共感してくれることが多い。しかし、あまり個性的な意見を言っているサイトに対しては、非常に強く反発し、攻撃さえする。理由は明らかだ。相手がどういう人間かをお互いに理解しようとしてはいないし、共感しようとさえ思っていないからだ。それも一種のコミュニケーションだろう。おそらく犬も威嚇をしたりしっぽを振ったりして自分の感情を表現する。

共感ということは、言葉という高度な道具を持った人間のみが持つ高度なコミュニケーション能力なのだと思う。言葉により、より相手を理解したり相手に理解してもらえたりするのだから。そして、相手に受け入れられることで得られる安心感という感情が、その共感を必要としているのだと思う。